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私たちの生命のギャンブル

ジェフリーさん講演会で出た質問への回答

2016.2.26のジェフリー・M・スミスさん講演会の会場で質問票を回収しましたが、限られた時間の中で、ごく一部しか実際に質問することができませんでした。ジェフリーさんにぶつけられなかった質問に対し、実行委員会のわかる範囲でここに回答させていただきます。

 

★遺伝子組み換えを避けるには

Q:遺伝子組み換え食品を避けるためには、どのように食品を選んでいけばいいのか?

A:有機(=オーガニック)JASマーク付きの食品を選ぶようにしてください。有機JASマークを表示するためには、遺伝子組み換え食品は使用できませんので、有機であれば安心です。また、国内では遺伝子組み換え作物の商業的栽培はされていませんので、原料が国産であれば大丈夫です(例:国産なたね油など)。

Q:表示をどこまで信じていいのかわかりません。「遺伝子組み換えでない」という表示を信じていいのか。

A:「遺伝子組み換えでない」と書いてあっても、意図せぬ5%未満の混入が含まれる可能性があります。ただし油や果糖ぶどう糖液糖など、表示義務のない食品がたくさんありますので、そちらに対する注意が必要です。

表示に関しては映画の資料集p10~13にも書きましたのでご覧ください。

http://geneticroulette.net/download/rouletteresource1.pdf

Q:日本では食品の表示が特に不十分、つまり抜け道を用意するようになっていて「有機」と書いてあっても相当含まれる場合がありそうです。アメリカではどうですか?

A:遺伝子組み換え食品が含まれるものに「有機」と表示することはできません。製造者以外の第三者が認証していますので、信用していいでしょう。アメリカでも同様です。ただし遺伝子組み換え食品が5%未満混入していても「遺伝子組み換えでない」の表示は認められることになっていますので、原料1種に関し、5%未満の混入の可能性は残されています

Q:GMO作物は食品以外には何に使用されていますか? 洗剤、シャンプー、歯磨き粉、薬のカプセル、糖衣などは大丈夫でしょうか? 鑑賞用の花や樹木、園芸用の種子や球根などはどうでしょうか? 避けるべき食品以外のものも知りたいです。

A:酵素入り洗剤の「酵素」は遺伝子組み換え微生物によってつくられています(遺伝子組み換え作物からつくられるわけではありませんが)。薬のカプセルや糖衣などには、遺伝子組み換え作物から抽出したでんぷんや糖が使われている可能性があります。でんぷんは糊、その他の工業用品にも利用されているようです。高級ティッシュペーパーには保湿成分として甘味料が含まれており、その甘味料が遺伝子組み換えとうもろこしを原料にしている可能性があります。

鑑賞用の花として現在日本で栽培されている遺伝子組み換え作物は、バラ(青紫のばら)のみです。

 

Q:日本では放射能の問題もあるため、加工食品で考え得るベターな選択が困難です。アメリカでも同様かもしれません。どう対処すればいいでしょう。

A:放射性物質の問題についてはこちらで断定的に申し上げることはできませんが、遺伝子組み換え食品が消化器官にダメージを与え、その結果、放射性 物質を含む汚染物質が体内により多く吸収されることもあるかもしれません。加工食品を避け、「有機」と表示された食品を選ぶか、加工食品はな るべく利用せず、手作りするのがおすすめです。なお、どうしても加工食品が必要な場合は、生協や一部の食品企業では加工食品にも危険を避けた製品もありますので、そうしたものを探してみるのも1つの手だと思います。

Q:この間知ったショッキングな情報は、清涼飲料水の果糖に含まれるということです。点滴や薬品に関しても気になります。清涼飲料水で今現在安全なものはありますか? EUのドリンク類ならOKですか?

A:オーガニックのスポーツドリンクもあります。オーガニックのものには遺伝子組み換え原料は使われていませんので、オーガニックの飲料を選んではどうでしょうか。自分でつくればさらに安心、なおかつ安上がり。水筒に入れて持ち歩くのがおすすめです。

点滴のぶどう糖は不明ですが、薬品は遺伝子組み換え微生物によってつくられているものが多くあります。

 

 ★アメリカの市民運動のその後

 

Q:カリフォルニアの運動は成功したのですか?

A:残念ながら成功しませんでした。反対側が莫大な資金を投入して「表示をすると手間がかかって商品の値段が上がってしまい、消費者は損をします」というようなテレビコマーシャルをものすごい頻度で流したためです。

 

Q:アメリカにおけるGMO表示はどうなったのですか? この映画ができた後の動きについて教えてください。

A:2016年7月からバーモント州で全米初の遺伝子組み換え表示義務化法が施行されます。他の州での運動などについても、映画の資料集P4に情報を挙げていますので、ご参照ください。

http://geneticroulette.net/download/rouletteresource1.pdf

 

Q:GMOをなくすためには「消費者が買わないこと」には納得できるのだが、日本でも現在どうしても有機の食品、安全な食品を求めると、そうでないものと比較して価格的に高くなる。貧困で日々食べて行くことがやっとの人たちは、米国でGMOフリーの食品を選択することは(価格的に)可能か? 映画ではカリフォルニアの運動の高まりが伝えられていたが、(わたしの印象では、確信は持てないが)住民に比較的豊かな人たちが多いのでは――とも思った。

A:貧困、フードデザート(生鮮食品が買えない地域)などは、非遺伝子組み換え食品を手に入れるための妨げとなるのはたしかです。コミュニティガーデン(地域住民が共同で町中につくる畑)などの広がりに期待したいところです。

 

Q:アメリカのGM表示制度はゲノム編集のものが今後多くでてきた場合にも対象となる制度をつくろうとしているのでしょうか。

A:ゲノム編集された食品はまだ表示の対象に入っていないと思われます。

 

 ★農業に関連する問題

 

Q:最近は農作物のタネが取れないので、毎回買わなければならないと聞きます。そのような作物もやはりGMOのものなのでしょうか。

A:現在利用されている野菜のタネで今一番多いタイプはF1(雑種第一世代)というもので、タネがとれないわけではなく、そのタネをまいて育てると、品質がバラバラになってしまうため、売り物にならない、というものです。F1と遺伝子組み換えは別のものです。

 

Q:わたしは遺伝子組み換えにたくさんの農薬が関与していると理解しています。ミツバチ激減に遺伝子組み換えが一要素としてあると思いますか?

A:遺伝子組み換え作物の商業的栽培がされていない日本でも、ミツバチの大量死は起きていますので、遺伝子組み換えは直接の要因ではないのではないでしょうか。

 

Q:GMOを作っているのはアメリカだけですか?

A:アルゼンチン、ブラジル、カナダなど南北アメリカ大陸を中心とする28か国で栽培されています。

 

 ★モンサント社について

 

Q:モンサントについて、GMO、タネ以外に教えてください。

A:モンサント社は種子市場で世界最大のシェアを持つ企業ですが、もとは戦争を通じて大きくなった化学企業でした。その手がけた製品とはサッカリン(人口甘味料)、PCB(工業用素材)、 DDT(農薬。PCBとともに世界最悪の環境汚染物質のひとつとされる)、アスパルテーム(人工甘味料)、牛成長ホルモンなど、健康被害を引き起こし、禁止されたもの、あるいは禁止運動の対象となっているものばかりであり、さらにモンサント社は原爆製造計画やベトナム戦争での枯れ葉剤製造にも関わっています。

 

Q:自分たちにも子孫がいて、健康被害が出るかもしれないのに、モンサントなどの企業の人は、なぜお金もうけばかりに走るのでしょうか?

A:自分たちは経済的に余裕があるので、オーガニック食品を買って健康を確保し、他の人のことは考えないのではないでしょうか。

 

★家畜、畜産、遺伝子組み換え動物

 

Q:家畜の飼料をGMOに変えると大量に死んでいたとありますが、日本でもそのような報告はあるのでしょうか?

A:日本では特にそのような報告は把握できていません。映画の中で大量に死んだ牛は趣味の農園で飼われていた小型牛であって、通常の肉牛や乳牛とは違う品種です。

 

Q:日本には家畜飼料としてどのくらいの量のGMO食品が輸入されているのか。

A:とうもろこし約1200万トン、大豆はおそらく約280万トン(油滓として輸入されるものと、大豆として輸入されてから搾油され、その後で飼料となる油滓の合計)、アルファルファ約200万トンが輸入されています。他に菜種油滓、綿実油滓も飼料になります。

 

Q:GMO飼料にはその表記がされているのか、義務はあるのか。

A:日本では現在飼料には表示義務はありませんので、表示されていません。

 

Q:アメリカが日本に輸出している牛肉のうち、何%がGMO飼料で育っているのか。

A:はっきりしたデータがありませんが、限りなく100%に近いと思われます。ちなみに日本が輸入する飼料用トウモロコシの98%は遺伝子組み換えです。

 

Q:GMOについて地球環境と生物の視点で提言します。肉にはGMOは記載されません。家畜が食べる穀物は人間の消費量より多いことがわかっています。そしてGMOを止めなければ自然界は破壊しつくされてしまいます。そして畜産をなんとかしなければGMOを止められません。畜産は温室効果ガスの30%を占め、糞尿が海に垂れ流されるなど人類最大の環境汚染です。GMOを排除することは当然ですが、それだけで環境を守るのに十分でしょうか。私たちは肉食を大幅に減らすべきか、完全に断つべきではないでしょうか?

A:たしかに現在の畜産は持続可能な方法ではないので、肉食を減らさなければ環境は守れませんね。畜産を縮小し、反対に日本では増えすぎて問題になっている猪や鹿の肉(ジビエ)の利用は増やすべきと思います。

 

Q:サーモンのGMOについて触れていただけるとありがたいです。

A:2015年にGMOサーモンがアメリカでは承認されましたが、NGOの働きかけにより、アメリカの多くのスーパーが、GMO鮭を扱わない、と既に宣言しています。その代わりに日本への輸入圧力が高まる可能性はありますので、日本でも同様の運動が望まれます。

 

★TPP

 

Q:TPPがGMOに与える影響はどのようなものが考えられるか?

A;日本の遺伝子組み換え表示制度は不十分で、改善されるべきものと考えていますが、TPPが発効してしまうと、今以上に表示制度を厳格化することは不可能になると思われます。第8章 TBT(貿易の技術的障害)章に、政府が新たな強制規格(たとえばすべての遺伝子組み換え食品に表示をしなければならないというような決まり)を設けようと思ったら、利害関係者(つまり表示が厳格化されると売り上げが減って困るアグリビジネス企業)を呼んで、意見表明の機会を与えなければならない、と書かれているからです。モンサント社などが呼ばれれば、当然表示はやめてほしい、というような意見を言うでしょう。それによって、国民の望む表示のしくみが実現できなくなる恐れが高いといえます。

また、今の日本には不十分ながらも遺伝子組み換え表示がありますが、それすらも将来的にはなくなってしまう可能性があります。第7章、衛生植物検疫措置章には、国の貿易に悪影響を及ぼすおそれがあるものについて、協力的な協議をする、と書いてあります。表示があると売れなくなるため、表示は貿易に悪影響を及ぼすものに相当します。それについて協力的な協議をするといえば聞こえはいいですが、結局はアメリカの政治力の強さに負けて言いなりになってしまう可能性が高いのではないでしょうか。それによって、今ある表示もなくなってしまうおそれが残されています。

さらに、各国の代表から構成される遺伝子組み換えに関する作業部会が新設されることになっており、詳細は不明ですが、これまで各国で行ってきた新品種の承認を、この作業部会で一括して行うことを狙っている恐れがあります。

 

Q:TPPによってGMO飼料、食品の関税は引き下げられるのか。

A:もともと無税ですので、変更はありません。

 

★その他

 

Q:欧州はGMOへの意識はどうか?

A:ヨーロッパでは食品にも飼料にも添加物にも遺伝子組み換えの表示義務があり、飼料以外にはほとんど流通していません。予防原則から考えて、人間の食べるべきものではない、という意識なのではないでしょうか。

 

Q:人道支援という名でGMO食品は使われていますか? もしそうなら、どんどん人口が増えているといわれますが、人口は減るのでしょうか?

A:飢饉に陥ったアフリカの国に遺伝子組み換えとうもろこしの粉が人道支援として提供されたことがあります。恒常的に行われているわけではないと思いますので、それによって人口削減とまではいかないのではないでしょうか。

 

Q:アメリカ国内でGMO食品が排除された場合、日本をはじめとする国外に大量輸出されるリルクは高いですか?

A:今でも大量輸出されていますが、より輸出圧力が高まることは考えられます。

 

Q:日本のGMO食品の流通事情をリサーチされていますでしょうか。もしされていたら、今の日本のGMO食品の流通の状況をどのように捉えていらっしゃいますか?

A:一部の食品にだけ表示義務があり、「遺伝子組み換えでない」の表示をよく目にするため、自分は食べていないと油断してしまう…消費者を勘違いさせる、混乱させるという意味では、最悪の表示システムだと考える(というふうに、ジェフリーさんはおっしゃっていました)。

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